室生犀星
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
[小景異情ーその二] より
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おもろい夫婦
鳳 啓助
夫婦。
不思議なえにしで結ばれし男と女。
もつれ合い、
ばかしあい、
許しあうキツネとタヌキ。
おもろきかな、
おもろきかな。
この長き旅の道連れに幸せあれ。
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感恩の歌
竹内浦次
幼きもののがんぜなく 懐中汚し背をぬらす
不浄をいとう色もなく 洗ふも日々に幾度ぞや